遺跡船道中記

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ひとこと読書レポート :『ぼくらの仮説が世界をつくる』

 『ぼくらの仮説が世界をつくる』(佐渡島庸平)

講談社で数々のヒット作を担当し、現在は作家エージェント会社コルクの代表を務める佐渡島庸平さんの仕事論。筆者自身の経験を基に、インターネット時代のビジネスにおける思考法などがまとめられている。

 

 タイトルにもある「仮説」に関する論が興味深い。過去のデータや情報を頼りに仮説を組み立てていく「前例主義」に陥ると、イノベーションが起きにくくなる。これを回避するためには、「情報収集→仮説」ではなく「仮説→情報収集」へとアタマを切り替える必要があると説く。

 

 ではその仮説はどう設定するのか? そこで大事になってくるのが「日常生活の中で、なんとなく集まってくる情報」や「自分の中にある価値観」である。作中で筆者が語るコンテンツビジネスの変遷もまた消費者の何気ない感覚に深く根差しており、「仮説→情報→検証」の流れを体現していることが読み取れる。

 

 「0から1を生み出す」考え方はとても苦手な私のような人間は、知らず知らずのうちに「前例主義」に陥ってしまっているケースが多いのではないだろうか。「クリエイティブな発想」は必ずしも「突飛な発想」を意味しない。日々の生活の中で感じるふとした違和感が、イノベーションと地続きになり得るということを思い知らされる。

 

 

 『ぼくらの~』で論じられるこうした仮説設定法や「宇宙人視点」は、『問題解決プロフェッショナル「思考と技術」』の「仮説思考」や「ゼロベース思考」に通ずるものがあるように思う。やはりビジネスの本質はそう変わらないという事だろう。

 というより、『問題解決~』で説かれるエッセンスをコンテンツビジネスという場で解釈・実践したのが『ぼくらの~』という印象である。

 

なお、『ぼくらの~』で語られるのはこうした仕事術だけではない。移り変わりの激しい現代社会において、どう生き、どう働いていくのか。この本はそれらの問いへのヒントが散りばめられた正に「ぼうけんの書」たる1冊になり得るのではないだろうか。